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2020.12.28

京都西京・葉室山浄住寺で「坐禅体験」

対策も万全に、コロナ禍でも安心して楽しめるイベントがあった!

お久しぶりです。VALTの東です。歳を数えるごとに1年の早さを感じずにはいられません。2020年は、新型コロナウイルスの影響で予定していた催しや、社内のレクリエーション活動など、人が集うイベントができず、例年に比べ少し寂しい1年になりました。

  • そんな中、万全のコロナ対策を講じ、密を避けて楽しめるイベントがありました。それが今回参加した、葉室山浄住寺の「坐禅体験」です。社内からは私、東と、歴史大好き井澤が体験をしてきました!
    本来なら、電車に揺られ、流れる景色を楽しみながら…と行きたいところですが、今回は、徹底的に人混みを避けるため、車で出掛けることにしました。
  • 浄住寺は、近年の台風や地震などの自然災害により建物の損害や倒木など大きな被害を受けました。美しい紅葉と数々の貴重な文化財を守るべく、京都市観光協会と浄住寺とで立ち上げられたのが、「プロジェクト唯心(ゆいしん)」。(「唯心」とは、自分自身の心に向き合うことを意味します。)
    浄住寺の存続と復興支援を目的とするこのプロジェクトに、我々もぜひ協力したいと思い、普段は滅多に体験出来ない限定プログラムに参加させて頂きました。

 
 

上桂の小径にひっそり佇む、自然とのコントラストが印象的な寺院。

  • 阪急上桂駅から、西へ歩くこと10分。閑静な住宅街の中の小径を進むと、ひっそり佇む葉室山浄住寺が私たちを出迎えてくれます。そこは、いわゆる建造物そのものの”派手さ”ではなく、木々や草花、鳥などの自然が織りなすコントラストが見事に調和したお寺でした。
  • 早朝の木漏れ日を浴びながら、石畳を染める紅葉の絨毯の上をゆっくり歩くと、それだけで心が癒え、清々しい気持ちになっていくのがわかります。
    今年は、秋の訪れが遅く、例年に比べ紅葉の色付きが悪いと言われているそうですが、この日は快晴!
    空の青に映える紅葉の橙、竹林の緑に赤い南天の実と、序盤から何とも贅沢な歓迎を受けました。

 
 

燦燦と降り注ぐ朝日の下で、心しずかに坐禅体験。

  • 普段は本堂で坐禅体験を行っているそうですが、今年はコロナ対策のため木々に囲まれた屋外で坐禅体験を行うそうです。
    当日までは、寒さに耐えながらの坐禅になると戦々恐々としていましたが、快晴でお日様が燦燦と照っていたため最高の環境で坐禅体験をすることができました。

黄檗宗の坐禅は座布団を2枚重ね、上に重ねた座布団を半分に折ってその上に坐ります(折らなくても良いらしいです)。
足を坐禅組みし(趺坐:ふざという)、背筋を伸ばして仏像のように目をうっすら空けて前を見つめます。
身が整ったらいよいよ坐禅の開始です。
姿勢に気にしながら息を整えていきます。
黄檗宗の坐禅は、「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ…」というように息づかいに合わせてゆっくりと10まで数えます。10まで数えたら再度1から数え直します。
なるほど、坐禅が終わるまで1から10までの数字を数え続ける訳ですね。

  • 数を数えることで、余計なことを考えずに集中できるのだそうですが、これが中々難しいのです。
    ふと数を数えていない自分に気づいたり・・・
    鳥の鳴き声や木々の音に耳を傾けていたり・・・
    はたまた、集中力の無さや非日常の空間に身を置く事で安らぎを覚えたり・・・
    良くも悪くも気づきの時間になりました(笑)。
  • 無の境地にはほど遠いものの、警策(きょうさく、けいさく。喝を入れる時の棒)で背中を打たれることで、雑念が取り払われ、真っ新な心に戻ることができるのです。
    いつもの喧騒を忘れ、自然の中に身を置き、ゆっくりと自分に向き合った45分間でした。

 
 

黄檗宗寺院ならではの建物とご住職のお話に心惹かれて。

  • 坐禅が終わると、まずは本堂の隣にある方丈へ案内していただきました。方丈庭園を目の前に、ぽかぽか陽気の中、お茶菓子をいただきながらご住職のお話に耳を傾けます。
  • 印象的だったのが、「いろは歌」のお話。仮名47文字をすべて一回ずつ使っていることから、文字を覚える為の手習い歌として有名ですが、お釈迦様の入滅前後を描いた涅槃経、雪山偈(四行詩)の「諸行無常、是生滅法、生滅滅己、寂滅為楽」の意を汲んで作られたとも言われているそうです。
    解説を聞いてなるほど、いろは歌が伝えるメッセージに極めて近かったのです。
    そしてご住職も我々に「一瞬一瞬は常に変化していて、だからこそその一瞬が何物にも代えがたい貴重な時間です。皆様もその限られた時間を大切に生きてください。」と仰ってくれました。
    気が付くと、お茶菓子をいただくのも忘れ、聞き入ってしまっていました。

  • 次に本堂へ移動し、お寺にまつわるエピソードや歴史などの解説を聞きました。
    まず一般的な寺院と違うのは、床が土間であること。これには理由がありました。浄住寺は明出身の僧・隠元を開山に請じて建てられた黄檗宗大本山、萬福寺と同じ宗派であり、中国の寺院は堂内が土間であることに由来するようです。それにしても、ここでこの時期に裸足で説法や修行をしていると考えるだけで、体の芯から冷えてきそうです。

もう一つ、中国様式が特徴に表れているのが、経文です。ご住職によると、黄檗宗は禅宗の一派であり「般若心経」を唱えるのだが、中国語読みの経文もあり、なんと2カ国語で覚えないといけないのだそう!この世界にもバイリンガルを身につけないといけないことがあるのだと、目から鱗でした。
その後も、本堂内にある数々の仏像など、普段お目に掛れない逸品や、エピソードを紹介していただきました。
この頃には、一般の参拝者の方も入場できる時間になっており、ふと周りを見渡すと、解説をするご住職の話に足を止め、我々に交じって参拝者の方も「うんうん」とうなずいているのでした。

 
 

また訪れたくなる!魅力的な“とっておきの場所”。

  • 歴史や逸話がたっぷり詰まった諸堂の拝観を終えたあとは、参道周りを散策。ここでも他にはない珍しい光景が広がります。敷地内には紅葉の木のほか、タイプの違う2種類の竹林があります。一つは、中国江南地方原産の「孟宗竹」の変異種といわれる「亀甲竹(きっこうちく)」。竹の節が亀の甲羅のような形状をしており、他とは一線を画すその姿に芸術性を感じずには居られません。「水戸黄門」で有名な水戸光圀が持っている杖は、この亀甲竹から作られているのだとか。
    もう一つは、「四方竹(しほうちく)」という、断面が正方形に近い四角い筒状の竹が植えられています。お客様が鑑賞しやすいように遊歩道がきちっと用意されている所にも、お寺の心配りが感じられました。
  • 今回は早朝からお昼前までのプログラムでしたが、坐禅体験あり、紅葉鑑賞あり、お寺の歴史を学ぶ時間ありと、盛りだくさんの内容で、本当に充実した時間を過ごすことができました!
    ご住職の丁寧でわかりやすい解説と、順路や遊歩道など細かい部分まで整備されているため、初めて訪問される方でも存分に満喫できることでしょう。帰りには、四季折々の表情を見せる浄住寺のポストカードと御朱印のお土産つき。
    自然が彩る美しい景観と、ご住職の人の心を掴むお話に、また行ってみたいと思う“とっておきの場所”になりました。
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■黄檗宗 葉室山浄住寺「プロジェクト唯心」
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